2012年7月18日水曜日

再び水田をドジョウのすみかに(Reported by Satoshi)

 新潟大学が参画しているトキプロジェクトの一環として,佐渡へ「水田魚道」を設置しに行きました.水田魚道とは,主にトキのえさ資源となるドジョウを水路から水田に上らせる施設のことです.なぜ水田魚道が必要かというと,近年の農業の効率化を背景とした圃場整備事業により,水田と水路の間に高低差ができてしまい,ドジョウが水田に上れなくなってしまったからです.現在トキの野生復帰が注目される中,えさとなるドジョウを十分に確保しなければなりません.そこで,水利研では新潟大学名誉教授のM先生を中心として昨年度までこの水田魚道の研究を行っていました.
 今回は,安価で施工が簡単なコルゲート管を用いた「波付き管魚道」を設置しました.まず,水田の畔を掘り,コルゲート管を敷設.ここで,ドジョウは底生魚であるため,魚道の入り口は水路底につけることが重要です.さらに,水利研の先輩の研究成果より,管の設置勾配は9〜11度が最も遡上率が高いということがわかっているため,この2点に注意して施工しました.そして,管を杭で固定して完成です!


みんなで協力してあっという間に完成

この日は2枚の水田に設置しましたが,トキの採餌行動範囲は広く,多くの水田で波付き管魚道を活用した餌場整備が必要です.さらに,水田内のドジョウの生息数を増やすには,水田魚道だけでなく,弱中干しや深水栽培,冬水田んぼ,江の設置などの栽培管理との連携も求められています.


お昼休み中,新穂川でアユやカニを発見!
佐渡の自然を満喫しました.


 最後に,今回この実習に参加して私も水田魚道について詳しく学ぶことができました.また,水田は米を生産するだけでなく,多面的機能をもつということを改めて実感できました.
(Reported by Satoshi)