2012年6月29日金曜日

持続可能な森林経営演習:県外見学

『持続可能な森林経営演習』のレポートをさせていただきます。
6/24~25に毎年恒例の県外見学に行ってきました。
今回お世話になったのは東京は檜原村の田中林業です。
田中惣次さんにお世話になりました。
田中さんは日本を代表する林業家の一人と言っても過言ではありません。
著書もありますので是非一読下さい。
→『日本の森林を考える』
 さっそく遊学の森を案内してもらいました。遊学の森は森林ボランティア発祥の地とも言われている場所です。

まずはスギの人工林の中で手入れの行き届いた人工林の素晴らしさについて説明していただきました。ともすれば人工林が悪者扱いされる今日,重要なのは人工林vs.天然林ではなく,手入れをちゃんとできるかどうかが森林の価値と大きく関わっているわけですね。
それにしても斜面が切り立ってます。

こちらはヒノキ林です。ヒノキの林は新潟ではほとんど見ませんからね。 ここでしっかり見ておかないと・・

落雷によって枯損してしまった立ち枯れ木です。生態系に配慮した森林経営においてはこうした枯損木の存在は生物多様性を高めるために重要なのです。これは今や世界の常識となってます。

ここは育成天然林です。 天然林の手入れができてる山持ちさんって日本にどれぐらいいるんだろ・・

複層林です。いやー,遊学の森は本当に盛りだくさんです。勉強になります。

磨丸太(みがきまるた)です。最近の住宅は床の間がなくなったので,こうした特殊な部材がいかせなくなりましたねぇ・・・すみません,我が家も床柱ないです。
今回の宿泊先は,田中さんの敷地内にあるフォレスティングコテージです。夜はなかなかみんな熱かったね。翌朝,1Fに何人かころがってましたが・・

さて,2日目は森林総合研究所多摩森林科学園にお邪魔しました。井上真理子さんに案内いただきました。井上さんとは森林計画学会つながりです。初めてお会いしたのは,私が学部4年生の時だったかと。
井上さんの専門となる環境教育に関して説明がありました。

割り箸を使ったアクティビティです。どの割り箸が国産かなぁ??

科学園の中を案内してもらいました。ここはサクラ展示林のところです。かなりの数のサクラがここで保存されているようです。サクラの季節に訪れたいものです。

今年も一泊二日の実習を無事終えることができました。来年はどこに行くか今から楽しみです。
例年思いますが『持続可能な森林経営演習』はまさに森林環境学コースを代表する授業です!他大学の森林系にはない新潟大学の目玉だと思います。

2012年6月27日水曜日

地域交流サテライト実習:大河津分水(6/23)

6月23日に1年生を引率して大河津分水資料館へ行ってきました。


大河津分水とは、信濃川の氾濫による越後平野における水害を無くすために、つくられた分水路(放水路)です。大河津分水を代表とする様々な土木工事がすすめられた結果、越後平野は日本有数の穀倉地帯となりました。


大河津分水が建設されるきっかけとなった大洪水「横田切れ」について説明を受けているところ。新潟大学の近くの宝光院では、この洪水の際に地上から2m40cm(写真のガラス天井の高さ)まで浸水したそうです。


大河津分水で洪水流を分流する仕組みについて説明を受けているところです。


老朽化のためお役ご免になった旧自在堰。


 解体工事前の旧自在堰を見学することができました。

越後平野の様子を弥彦山の上から観察しました。
こんなに天気が良い日に弥彦に登れてラッキーでした。


 大河津分水をつくり信濃川の水の流れを変えたことや、信濃川河口の港湾施設の建設などにより、流砂の流れが変わり、海岸線に変化が生じました。
 信濃川の河口付近では400m近く海岸が後退し、海岸の後退を止めるために護岸工事等を行わなければなりませんでした。
 一方、大河津分水河口付近では最大600m近く海岸線が前進しました。新しくできた海岸では、飛砂害が生じるようになり、飛砂害を防ぐために海岸防風林の造成がおこなわれました。

この実習を通じて、現在の越後平野を優良な農地にするために払われてきた血のにじむような努力の一端に触れると同時に、自然に手を加えることの難しさについて感じてもらえらのではないかと思います。

2012年6月19日火曜日

育林系演習及び実習:温見平ブナ天然林

山形県小国町の温見平ブナ天然林に行ってきました。
こちらは、標高400メートルですが3~4mも雪が積もる豪多雪地域で、まだところどころ雪が残っていました。
ブナ林内がどのように世代交代していくのか、地形ごとの樹木の違い(凹地にはヤチダモ、サワグルミ)などを見学しました。

ナラ枯れによって枯れたミズナラです。小国町でもナラ枯れ被害は多く、様々な対策が実施されていますが、それでも枯れてしまうこともあります。

 午後からは、天然林内の林分構造調査を実施しました。樹木の位置、周囲長、階層、樹高などを測ります。
上の写真は、ブナの周囲長を測るために、メジャーを巻いている様子です。
とても大きな木で2人で協力して測りました。
温見平では、普段あまり見ることのできない大きなブナをたくさん見ることができますよ。
最後に全員で記念撮影!
温見平のブナ林は、とても美しく一般の方もたくさん散策にきていました。山形県小国町に立ち寄った際は、是非行ってみてください。

2012年6月17日日曜日

持続可能な森林経営演習(6/16)

本日は『持続可能な森林経営演習』のレポートです。
毎年恒例の山北町(現村上市)における見学です。
山北町は新潟県における林業の盛んな地域のひとつです。
午前中は新潟県を代表する篤林家である東海林さんの所有山林を見学です。
上の写真は,挿し木造林,実生造林を見比べながら,いかに林業で収益をあげていくかという説明を受けている様子です。

林内空間の有効利用の試みとして,葉ワサビ栽培の現場を見せていただきました。
山村では材を売るだけでなく,地域の様々な資源を有効に活用しながら生活を維持する工夫が求められています。ここでは東海林さんから学生達に「葉ワサビの有効活用の方策を是非考えてほしい」との投げ掛けもありました。

午後は「スギトピア」です。スギ専門の製材工場です。最近では集成材の生産が主力となっています。まずは工場の概要の説明を受けました。


工場長の説明で集成材に加工されていくまでの一連の工程を見学させていただきました。工場の中は機械の音がうるさくて説明の声も聞こえにくいのですが,みんな熱心に耳を傾けておりました。


本日最後の見学場所はさんぽくプレカットです。いまや住宅建築用木材のほとんどがプレカット工場を経由しています。プレカットされた部材がどのようなものであるのか・・・今回写真撮るの忘れてました。来年はそういった写真も紹介したいと思います。

普段の授業と違って,いずれの見学先でも質問が出てて良かったです。今年の受講生にどのような刺激が与えられたのか分かりませんが,おそらく初めて知ることも多くて,それぞれ何かしら受け取ったと思います。

6/24~25は一泊での見学です。帰ってきたらまた報告させていただきます。

2012年6月12日火曜日

地域交流サテライト実習:21世紀のハイテク農業

地域交流サテライト実習レポート第2弾!!
こちらは新潟最大級の補光型植物工場グリンーズプラント巻さんにお邪魔してきました。

グリンーズプラント巻オフィシャルページはこちらから
ここでは,主に葉菜類を中心に栽培しています。
もちろん一年間ずーと栽培しています,【施設園芸】の真骨頂!!

こちらの種はなんでしょう?














正解はレタスです!!焼肉巻いて巻いて~♪














発芽には温度管理が重要です。
ここではさらに秘密が・・・日本で2社しか持っていない特別な技術が含まれています。
(詳細は企業秘密なので明かせませんが・・・悪しからず)



こちらは「みつば」

水耕栽培移植作業をさせていただきました。














こちらが移植機械

 これを見よ!!これぞ職人業
早ぇーーーー

ほこ×たて いざ勝負!!
移植機 vs. 職人ではどちらが勝つのか?!

お話を伺ったところ,少しだけ移植機が早いそうです。
長時間,多数作業の労働負担を考えると,
やはり農業機械は農作業を大きく助けてくれる技術なんですね,再確認できました。

こちらは「ルッコラ」














食べたことありますか?ピザや生ハムとのサラダにもってこいの人気もの。
食べるとゴマの風味を感じます。
栽培しているものを直接もいで食べさせていただきました。

ほかにもハープ類を栽培しており,県内外のレストランに販売しているそうです。


われらが生産環境科学科では,毎年見学させてもらってます。
興味のある方は,われらが学科へおいでやし!!

この続きはまた今度。
tO bE cONtiNue

2012年6月9日土曜日

地域交流サテライト実習:森林科学館

今年も地域交流サテライト実習で1年生を引率して森林科学館(阿賀町中ノ沢)に行ってきました。

明石さんからウルシがいかに我々の生活と密接に関わっていたのか,という話が現場でありました。 あいにくの天気でしたが,なんとか散策できるぐらいの雨量で助かりました。

午後は木工体験です。みんな必死に自分の作品作りに励んでいます。

おなじみのアイコンにインスパイアされた作品です。なかなかキレイにまとまってます。

こちらの学生は,この作品を実家に送ると言ってました。 お父さん,お母さんもさぞかし喜ばれることでしょう。

皆さん満足げです。今年も充実した一日となりました。この中から森林科学館のファンになる学生が出るといいなと思ってます。

2012年6月7日木曜日

初心

新潟に来て早2ヶ月、外に出掛けたのはまだ数えるほどです。
 そんな中で出逢った素敵な風景。





 「赤毛のアン」と「まんが日本昔ばなし」の世界が隣り合っていて、ちょっと足を伸ばせば、山の暮らし、平地の農業、水田、畑、果樹園…、なんでもありそうです。

 周りとうまく折り合いをつけながら営まれてきた日々の暮らし。その中から知恵や技を読み取って新しい暮らし方を描いていけたらと思っています。

2012年6月6日水曜日

金星の太陽面通過


新潟大学の第一食堂前で,天文部の方が観察していました.

魚の数を自動的に数える!

生産環境科学科では,農業用の水利施設が河川環境におよぼす影響についても研究しています.
先日,利根川中流にある利根大堰で,アユの遡上数を自動計測する装置「魚カウンター」の試験運転をしてきました.

利根大堰

魚カウンターは,魚が通過すると河川水の電気抵抗が変化することを利用して,魚の遡上数を計測する装置です.
サケの成魚のように体長が50cmを越える大きな魚の場合,電気抵抗の変化が大きいため,この装置を使用するとほぼ100%の精度で計測できます.実際に利根大堰では,この装置を使用して遡上してくるサケの数を計測しています.

しかし,川を遡上してくる魚には,サケのように大きな魚ばかりではなく,アユの稚魚のように体長が
10cm未満の魚もいます.この装置を利用して小さな魚の数を数えるためには,工夫が必要となります.下の写真は,小さな魚も計測できるように,電気抵抗を計測するセンサーの部分を改良した魚カウンターです.



改良型の魚カウンター


今回の試験運転の結果,この装置を現場で使用する際にあたっての課題が明らかになりました.来年度からの本格稼働を目指して,課題の解決に努めたいと思います.


<参考>魚道を利用する魚の数を自動的に測る!-魚カウンターの開発 
http://www.agr.niigata-u.ac.jp/seikan/study/kenkyu/seitai_fishway.html

2012年6月3日日曜日

地図に残る仕事

「清水の棚田」復旧工事現場を視察しました.


 昨年3月の東日本大震災の一連の地震で長野県北部地震が3月19日に発生しました.新潟県十日町市(旧松代町)の「清水の棚田」という美しい景観で知られていた棚田が,この地震によって引き起こされた地すべりで大規模に壊れてしまいました.

地すべり前の清水の棚田 http://seitenheki.exblog.jp/i20/

地すべり後の清水の棚田


 昨年からこの棚田の復旧に生産環境科学科のA田先生と私が携わっており,棚田の復旧案を提案することになりました.復旧案作成にあたっては「平行畦畔型等高線区画」というA田先生が20年以上も前に開発し,農業土木の教科書にも載っている手法がベースになっています.この手法は,過疎化・高齢化に伴って耕作放棄地が増えている中山間地域でも,平野の田んぼと同じくらい効率的に作業ができるため,耕作放棄を抑えるのに効果的です.しかも,等高線に沿って区画を配置するため,中山間地域の景観を大きく損なうことないという点でも優れています(詳しくは,「有田博之・木村和弘(1997)持続的農業のための水田区画整理,農林統計協会」を参考にしてください).
 しかし,これまでこの手法が事業地区全体の計画に使われたことはありませんでした.複雑な地形での設計が難しかったのです.私たちは,こうした問題を解決するため,GIS(地理情報システム)を使った設計方法を開発しました.
 今回は復旧事業を急ぐ必要があったことから,復旧案作成のために私たちに与えられた時間は2週間ほどしかありませんでしたが,このGIS手法が本領を発揮し,期限通り案を作成することができました.
地すべり後の清水の棚田


 地元農家への説明会も行い,了解を得た上で,やっと今年の雪解け後に工事が始まりました.
 ブルドーザやバックフォーなどが行き交う中,こんな山奥の「キャンバス」に私たちが設計した棚田ができるかと思うと,なんだか芸術家になった気分.降雪前の今年の11月には完成予定です.
 
 農業土木は,地図に残る仕事ができるという点でも,とても魅力的な分野です.

2012年6月1日金曜日

全国デビュー(かも!?)(Reported by Susu)


 再び,福島県二本松市で調査しました.福島県では,昨年発生した福島第一原子力発電所事故によって拡散した放射性物質が大きな問題となっています.わが水研では,放射性物質が農業(農地,作物)に与える影響を評価することを目的に流域内のセシウムの移動を追っています.




 この日の調査にはNHKの取材班が同行しました.渓流や水田に様々な計測装置を設置しているのですが,この作業風景を事細かに撮影していました.
 もちろん研究に対しての取材であり,我々個人に対する取材でないのですが,不思議と緊張しました.特に,大舞台のプレッシャーに弱い女子学生Hは,自然さを醸し出そうとかなりおかしな動きをしていました.
 撮影も終盤に差し掛かった頃,撮影風景を写真に収めることを忘れていたことに気づき,慌てて取材の様子を撮影しました.

さすがプロのカメラマン!構図を考えて何回か撮り直しました.
でもなんか不自然

 この写真,実はかなり不自然です.ブログ用の写真を撮りたい旨を伝えたところ,快く引き受けてくれたのですが,撮影はやはりプロのカメラマンということで役割分担の変更.本当は,写真中の音声担当はディレクター,カメラ担当は音声さん,本当のカメラマンはデジカメでこの写真を撮っています.(すなわち,ヤラセ写真です).


 この日の取材内容は,67日(木)19:30からのクローズアップ現代で放映予定です(放映予定日は6月の3週目となったそうです).編集で全カットされていなければ,水研の全国デビュー.是非見て下さい!

(Reported by Susu)